■第5章(7)

ボタンを外しながら、俊介が驚いたように声を上げる。
「へえ…マッチーの彼氏って、結構独占欲強いんだね」
シャツで隠れた肌の上には、いくつもの所有印。消える間もないほど、会う度に刻まれたものだ。
「ここも…ここにも、まだある」
「…っ、やめ、」
ひとつひとつを上からなぞるように唇で触れられ、松田の体温がじわじわと上昇して行く。抵抗しようと浮かせた背中の下に、まだ子供の柔らかさを残す俊介の掌が潜り込んだ。そのまま抱き起こされ、襟首からシャツを引っ張られて剥がされる。再びベッドに横たえられると、
「…電気、消すね」
ぱち、と音がして、部屋は物の色が分からないほどの暗さになった。
俊介は松田の腰に跨がるように上に乗り、自分の上衣をばさばさと脱ぎ捨てる。以前抱かれた時には俊介はほとんど着たままだったから、裸を見るのは初めてだ。まだ完全に大人とは言えない、細い筋肉のついた体。
「俊…、ちゃんとご飯食べてる?」
少し肋の浮いて見えるのが気になって、松田は思わずそう訊ねた。俊介は目を二度三度ぱちくりすると、ふっと吹き出した。
「なに言ってんの、こんな時に」
質問には答えず、松田に覆いかぶさるように上半身を倒して。掌が腰から胸へ滑って、耳元には囁き声が吹き込まれた。
「マッチー、どういう風にされるのが好き?その通りにしてあげるよ…せっかくするんだしさ」
「あっ…、んっ」
どういうも何も、俊介に組み敷かれて触られているだけで全身がぞくぞくする。答えようにもやめてくれと言おうにも口を開けば出るのは変な声ばかりで、松田はぐっと唇を噛み締めた。しばらく声を殺して耐えていると、松田の脇腹を撫で擦っていた手が止まり、ベッドをぎしりと軋ませて俊介が上半身を起こす。
「ねえ、だめだよ…そんなに噛んじゃ」
俊介の親指が、歯の跡がつくほど噛み締めた松田の唇をなぞる。優しい触れ方に、松田の瞳が揺らめいた。と、その親指が松田の口の中に押し込まれ、
「噛むんなら、俺の指噛んでいいから」
「んう…っ」
そのまま、身体への愛撫が再開される。唇と舌は首筋を、空いた手は胸元から腰へ、まだ服を着たままの脚を這い回り、喘ぎが喉を抜けて行く。俊介の指を噛んではいけないと思うと口を閉じることもできず、溜まった唾液が端から一筋零れ落ちた。
「……」
「あ…っ、…!」
俊介の舌が、松田の口元をつっと拭う。心臓がどくんと音を立て、腰が跳ねる。前がじわりと濡れたのが分かった。

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