5代目拍手お礼小説 25000hitキリリク
yumi様より「トモオミラブラブ度アップ(18禁)」トモ嫉妬・誤解絡み


カオリちゃんの毅然とした態度に少したじろいだオミに追い打ちをかけるように、俺もここぞとばかりに溜めていた気持ちを吐き出させてもらう。
「なんで俺に話してくれなかったんだよ、隠し事なんて…信用されてないのかと思うだろ。結構凹んだんだからな」
「ご、ごめん…でもさ、その先輩って結構危ない…」
「「でもじゃない!」」
カオリちゃんと俺の声が見事にシンクする。
「そうと決まれば行動は早い方がいいよね。今日の放課後、先輩に会って話そう。和臣も来て、ちゃんと言って」
「え、やっぱり付き合ってることにしとくのか?」
「バカ、違う!諦めてもらうためにフリしてたって、ちゃんと言うの!」
バカと言われて、オミはぐっと詰まった後、がっくりと項垂れた。

放課後、俺たちは(正確に言うと俺は後ろに隠れていたけれど)例の先輩を屋上庭園に呼び出し、カオリちゃんから再度しっかりと気持ちを伝えた。
「だから、この人には協力してもらっただけで。すみません。でも、先輩とはお付き合いできません」
「そこまでして…そんなに俺が嫌なのか、佐藤さん」
隠れているから表情は見えなくても、先輩の声色でだいたい分かる。
好きな相手に拒絶されるって、本当に辛いんだ。少し胸が痛んだ。
カオリちゃんの横にいたオミが静かに話し始めた。
「今回のことは俺が提案したんです。先輩に付きまとわれて、カオリが不安がってたから。騙したのは悪かったと思ってます。でももう、カオリを怖がらせるようなことはしないでもらえますか」
「……」
落ち着いた口調で、でもはっきりと。オミはカオリちゃんを守ろうとしている。
自分の行動には責任を持つのがオミの信条だから、カオリちゃんはオミにとって、俺たちにとって大事な友達だから。
もし俺がオミの立場でも、何とかしようと手を尽くしたと思うけど。
分かっていても、胸の奥に靄がかかったような嫉妬心が滲んでしまう。

「…分かった、佐藤さんのことは諦める。ただし、」
先輩の語気が強まり、俺は隠れた柱の陰で思わず身を縮めた。
「お前。一発殴らせろ」
「「「はっ!?」」」
言われた張本人のオミ、カオリちゃん、隠れている俺。3人揃って頓狂な声を上げてしまった。
慌てて口を押さえて、そろそろと3人をうかがう。
「お前、佐藤さんの元彼なんだろう。その立場を利用してこんな…」
「ちょっと先輩、和臣はそんなつもりじゃ、」
「いいですよ。それで気が済むんだったら」
オミは反論したカオリちゃんを制して前に出たらしい。
「どうぞ」
「…オミっ…」
このままではオミが殴られてしまう。俺は柱の陰から身を乗り出して、出て行こうかと身構えた。
「この…!」
先輩が拳を振り上げる。次の瞬間、大きな音と共に体が吹っ飛んだ。
「……え?」
「…ってえ…!」
が、吹っ飛んだのはオミではなく、先輩の方。
今見たのが現実であれば、先輩の拳がオミにヒットする直前、カオリちゃんの平手が先輩を…
「お、オミ大丈夫か!?」
隠れるのも忘れて駆け寄った俺の肩を抱いたオミも、冷や汗を流して硬直している。
カオリちゃんは頬を押さえてうずくまる先輩の前に仁王立ちになり、ぴしゃりと一言。
「その性格直さないと、私じゃなくたってフラれますよ」
そして俺たちを振り返ると、帰ろっか、といつもの微笑みを浮かべたのだった。

先輩を置いて歩き出したカオリちゃんに、俺たちは慌てて付いて行く。
「カオリちゃん、強いね…」
「もしかしたら俺の助けなんていらなかったのかもな…」
しみじみと女の怖さを噛み締める俺たちを尻目に、カオリちゃんは上機嫌だ。

「もう、送ってくれなくていいからね。心配かけた分、幸田君に埋め合わせしてあげてよ」
そう言って帰って行ったカオリちゃんを見送り、俺たちは自転車置き場へ。後ろに跨がってオミの背中にくっつくと、微かな振動を伴ってオミの声が降ってきた。
「今日、うち寄ってく?」
「…うん」
ふと、昨日の朝、勘違いをしたままだった俺にオミが言ってくれた「トモしか乗せない」という言葉を思い出した。
ここは俺の指定席。
チャリは軽快に走り出し、オミのアパートまではあっという間。

部屋に通されて荷物を置くと、オミにぎゅうっと抱きしめられて。
「あー、トモだ…」
なんて言うもんだから、ちょっと意地悪心が働いて憎まれ口を叩いてしまう。
「カオリちゃんも入ったんだよなー、この部屋」
「トモ…」
腕を緩めて俺を見下ろす困った顔を見て、今度は俺から抱きついた。
「言ってくれればよかったのに。俺、ほんとにオミがカオリちゃんとヨリ戻したんじゃないかって思った」
早退までしてしまった、昨日の辛かった気持ちを思い出す。黙ってしまった俺を、オミはまた抱きしめてくれた。
「ごめん、トモを危ない目に遭わせたくなかったから…嫌だった?」
「…二度としないで」
他の人と、たとえフリでも手を繋いだりなんて。
俺にしては珍しく、素直に独占欲を口にすれば、今度はオミの笑顔が目に入る。
何で笑うのかと問う間もなく、キスで塞がれてしまった。
「ん…」
少し長めに触れてからちゅっと音を立てて離れると、やっぱりオミは笑っていて。
「嬉しいな、トモが妬いてくれて」
「なっ…まさか、俺の反応見る為にやってたんじゃないよな?」
「違うって。…たぶんね」
俺と付き合う前にカオリちゃんと付き合ったのは、俺がどういう反応をするか見たかったからだと後から聞いた。同じことをしたのかと聞いてみればとりあえずオミは否定をしたけれど、やたらと笑顔なのがちょっと気に食わない。
「俺、ほんとに凹んだ…」
「ごめんって…ごめん」
むくれながらも擦り寄ると、抱きしめて撫でて甘やかしてくれる。
「こうしたいと思うのはトモだけだから」
そう言って。

子供をあやすように何度もキスをされて、さすがに俺も苦笑するしかなくなった。
「ごめん、トモ」
「もういいよ。オミが本気じゃなかったんなら」
「そうじゃなくて、俺たった一日でもトモ不足で…このまま帰したくないっていうか…」
言いにくいことを口にする時のオミはいつもこうだ、視線をうろうろさせて、はっきりしない物言いをして。
でも、「このまま帰したくない」がどういう意味なのか、俺にも分かる。
ちらりと時計を確認して、オミの制服をぎゅっと握った。

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