文化祭の翌日は全校生徒で片付けをして、さらに翌日は休みだ。
女子たちから力仕事をあれこれ頼まれた俺は、帰宅すると疲れた体をベッドに投げ出した。眠ってしまいそうなのを堪えて首を上げると、まだ捲っていないカレンダーが目に留まる。
「あっという間に11月か…」
去年の今頃は、オミと同じ高校に入りたくて受験勉強をしていたんだっけ。
俺に志望校を教えたのは、俺が同じ高校を目指してくれればと思ったからだと、オミは言っていた。
あの頃から俺のことを好きだったと。
(俺はもっと前から好きだったんだぞ…)
想いを伝えるなんて絶対にしてはいけないと思っていた。
叶わなくても、親友として側にいられればいいと。

「トモのこと、独占したくてたまらないんだ…」

まさかこんなにオミに愛してもらえるなんて。
(幸せすぎて寿命縮むんじゃないかな、俺)
愛されて死ぬならそれでもいい。
そんなことを考えてしまう自分は、よほどオミ中毒なのだろうか。
ブレザーのポケットから携帯を取り出し、履歴の最初に表示される番号をプッシュする。
「…うん、俺。うん…あのさ。明日、早く行くね」
もっと一緒にいたいんだ。
1秒でも長く、永く。
「さて、言ったからには早寝しないとな」
電話を切って、明日着ていく服を選ぼうとクローゼットを開ける。
少しでもオミが脱がしやすい方がいいだろうかと一瞬考えて、頬が熱くなった。

翌朝、オミのアパートの最寄り駅の改札を抜けると、自転車に跨がったオミが待っていた。
「寒いんだからいいのに」
嬉しくて破顔しそうになったのを憎まれ口でごまかすと、バレているのかくすくすと笑われた。
「いいんだ、俺が早く会いたかったから」
そう言われるともうごまかし切れなくなって、顔が見えないようにオミの後ろに跨がって、ぎゅっと抱きついた。

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