「おはよう、トモ」
「…はよ」
週が明けて、月曜の朝。
いつものようにオミの自転車の後ろに跨がる。
初めて体を繋げた土曜日、まだ明るいうちからコトに及んでしまったおかげでその日は何もできなかったけど、俺の体を心配したオミがあれこれと世話を焼いてくれて悪い気はしなかった。
(もっと早く決心してもよかったのかも)
あれこれ心配したけど、好きな人と抱き合うのがあんなにいいものだとは思わなかった。くっついて一緒に眠る温もりだとか、全てが心地よくて、幸せで。
(ますます好きになったって感じ)
自転車をこぐオミの背中に額をつけて、自然と漏れる笑みをごまかした。

10月半ば、秋晴れの空は爽やかな青で、吹く風も心地良い。
「んー、気持ちいー」
最近まであんなに暑かった教室のバルコニーも、季節の移り変わりと共に時間つぶしにはちょうどいい場所になってきた。もっとも、いつも出ているのはオミと俺、それから…
「よっ。お邪魔ー」
俊。だいたいこの3人のローテーションになっている気がする。
俺の隣に来た俊は、オミと俺を見比べて悪戯っぽい笑顔を見せた。
「元に戻ったな」
先週の、なんとなくぎこちない雰囲気がなくなったと言いたいんだろう。無理もない、先週は土曜に初Hを控えてお互いに意識してしまっていたんだから。
でも、過ぎてみれば不安は消え去って、俊が言うように元に戻ったどころか、これまで以上に自然に一緒にいられるようになったように思える。
オミを見上げてふふっと笑ったら、横から俊の手が伸びてきて頬を突かれた。
「なーに思い出し笑いしてんだよ。さてはあっちの相性もバッチリだったんだろ、やーらしー」
「ばっ…何言ってんだお前!」
「はいはいストップ」
かーっと血が上って俊に掴み掛かろうとしたところを、オミに引っ張られて止められた。オミは片腕で俺の首元をしっかりホールドして、
「知りたいか?どれくらいバッチリだったか」
俊に向かって不敵な笑みを浮かべながら言ってのけたのだ。
「いーや、結構。他人のノロケを喜んで聞く趣味はないんでね」
俊はひらひらと手を振って肩をすくめて見せて。
「よかったな。…うらやましいよ、お前ら」
ぽつりと。視線を落として呟いた俊からは、いつものへらへらした色が消えていた。

BACK←→NEXT


連載/短編/お題
サイトトップへ


広告が表示された場合はレンタルサーバーによるものです。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送