荒い息と身体の震えがいつまでも収まらずにいる俺に、オミは再び手を触れてきた。
「…オミ…?」
両膝を揃えて持ち上げられ、脚の付け根辺りに何かが押し付けられる。熱を帯びたそれはそのまま、俺の太股の間に挟むように差し入れられた。
「な、何……あ…!」
抜き差しするように動き始めたそれがオミの昂りだと分かった途端、また俺の先端から溢れ出す感覚があった。オミが腰を打ち付ける度に、どんどん溢れては伝い落ちる。
「あ…っあ…っあ…はぁっ…」
どこを触られている訳でもないのに、抑え切れずに喘いでいる自分が信じられなかった。オミが俺の身体を使って自慰をしている…それだけでたまらなく興奮して、熱い塊を擦り付けられる太股から腰あたりまで甘い疼きと痺れが広がって行く。
「っん……」
眉を寄せるオミの表情はひどく淫らで、イク時はどんな顔をするんだろう…そんな事をふと思った。でも、すぐに何も考えられなくなって。
「あ…あぁ…やぁっ…」
「トモ…感じてるの…?」
「んっ、ん…」
素直に頷くと、脚の間でオミが質量を増したような気がした。持ち上げていた脚を下ろして、ぴったりと身体をつけるように抱き締められる。そのまま腰を揺すられると、お互いのものが直接擦れ合ってたまらない快感を生んだ。
「や…ぁ、やだ…っああ…!」
「すげ…気持ちいい…」
オミが絶頂に向けて更に激しく腰を動かすと、それが俺への刺激にもなった。汗で滑るオミの背中に腕を回して必死にしがみつく。
「トモ……っイキそ…」
その言葉に、俺の下肢がびくびくと反応を示した。
「トモ…」
「あ…はぁっ、は…ん、ん…ぅ…んんんっ……」
唇を塞がれて、絡んだ舌を強く吸い上げられた時、俺の意識は真っ白に弾けていた。

意識が飛んでいた時間はそう長くなかったと思う。
まだオミが俺を抱いたまま荒い息をついていて、俺が身じろいだのに気が付いて身体を起こす。
「ごめん、重い?」
「ううん…、あ…!」
俺も起き上がろうとして、目に入ったものにひどく動揺した。精を吐き出した証拠と言わんばかりにべっとりと濡れた下腹部。慌てて、視線を避けるようにオミに背を向ける。後始末をしながら、身体の震えをとめる事ができなかった。
今した事で、オミとの関係は間違いなく一線を越えてしまった。
その事が嫌なんじゃない。あんな風に乱れて、溺れて、自分にあれ程までにさもしい本性が眠っていたのかと思うと、それをオミに曝け出してしまった事が怖くてしょうがなかった。
震える手で身なりを整えようとしても、シャツのボタンが上手く留められない。見兼ねたオミが丁寧にしてくれたけど、その間にも何度も唇を啄まれて、また変な気が起きそうになった俺は「駅まで送る」と言うのも聞かずに逃げるように帰って来てしまった。

首の付け根、鎖骨の近くに控えめなキスマークが残されていたのを知ったのは、だいぶ時間が経ってからだった。

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