5代目拍手お礼小説 25000hitキリリク
yumi様より「トモオミラブラブ度アップ(18禁)」トモ嫉妬・誤解絡み


「ったく、一体どうしたんだよ」
「何でもない…」
「お前なあ…」
放課後のファーストフード店にて、むくれた顔の俺と、呆れ顔の俊。
俊はコーラを一口すすって、もう一度溜め息をつく。
「あれだろ、あの噂。気にすることねーって。なんかの間違いだろ」

俊の言う「あの噂」とは、月曜に遡る。
クラスの男子数人に引っ張られてバルコニーに連れて行かれた俺は、そいつらからとんでもない話を聞いてしまったのだ。

『オミとカオリちゃんが寄りを戻したらしい』と。

さっと血の気が引いていくのが分かった。
「え、まさか…俺聞いてねーし」
笑いながら言ったつもりではあったが、語尾が震えてしまっていたかもしれない。
さらに追い打ちをかけたのは、後に続いた目撃証言だった。
「俺さ、見たんだよ昨日。木下と佐藤が一緒に歩いてるとこ。それがなんつーか…手とか繋いでるし、付き合ってるようにしか見えなくてさー」
「おい、嘘だろ…人違いじゃねーのか?」
俺は思わずそいつの肩を掴んで声を荒げてしまった。
心臓がばくばくと大きな音を立てて、背中を冷や汗が伝う。
「ぜってー見間違いじゃねーよ。他のクラスの奴も一緒だったけど、確かにあの二人だって」
「幸田〜、また木下に置いてかれちまったな〜」
「お前もまた天野と付き合えよ、結構お似合いだったぞ」
奴らは軽口を叩いて俺をからかうと、教室に戻って行ってしまった。
一人バルコニーに残された俺は、呆気にとられて立ち尽くすしかなかった。

昨日…日曜は、用事があるからと言われてオミと一緒に過ごせなかった日だ。
その分、土曜は時間を惜しんでたくさん抱き合って、愛し合って。
オミは俺を抱きながら、離したくないって言ってくれたのに。
なのに、カオリちゃんと…?

その後、噂が広まるのにそう時間はかからなかった。
俺はオミに直接確認する勇気なんて出なくて、オミも何も言わないし、できる限りいつも通り振る舞っていたつもりだけど。
やっぱりおかしいと思われたようで、俊に連れられてファーストフード店に腰を据え、尋問されているというわけだ。
「あいつが何も言わないんなら、何もないんだろ。信じてやれって」
「そうだけど…」
不安なのは、自分に自信がないからだ。
男の俺が、カオリちゃんにかなう訳がないじゃないか。


翌朝、いつものように学校の最寄り駅でオミのチャリ出迎えを受けた俺は、無言でオミの背中にしがみついて学校へ向かった。
その間も、追い抜きざまにクラスメイトから
「おい、幸田降りろよー」
「佐藤乗せてやれよー」
などとからかわれて、いたたまれなくて。
学校に着くと、オミは自転車を置きながら気にしなくていいと言ってくれたけど、これが気にせずにいられるものか。火のないところに煙は立たないというものだ。
「でも、…」
「でもじゃない。俺はトモしか乗せないから」
強く言われて、言い返せなくなってしまった。

俺たちが教室に入るとそこはにわかに騒がしくなって、俺はまた男子数人にすぐに引っ張られてバルコニーに連れて行かれた。
昨日の放課後に何をしていたかと問われ、俊と遊んでいたと答えると、奴らは納得したように顔を見合わせて頷き合う。
「な、なんだよ…」
嫌な予感がして聞いてみると、返ってきたのは案の定の答えだった。
「いやさ、昨日木下が佐藤と一緒に帰ってたんだよ。で、見てた奴に聞いたんだけど、駅じゃなくて途中の道で曲がったって」
学校から駅に向かう、途中の道を曲がる。それはまぎれもなく、オミの住むアパートへの道に違いなかった。
表情が消えたのが自分でも分かる。
「それって木下んちの方だろ。ついに連れ込んだって、今度はマジじゃねーかって。なあ?」
奴らが互いに肯定の言葉を言い合う様子が、妙に遠く見える。
吐き気にも似た気分の悪さを感じ、俺は思わずその場を離れ、トイレに向かった。
個室に入ってドアを閉めると、人目を避けられたという安心感か、一気に力が抜けてその場にしゃがみ込む。
不意に涙が溢れて、俺は声が漏れないように口を手で覆った。
「う…っ、ぅ……」
朝のホームルームが始まる時間になっても、俺は教室に戻れなかった。

ひとしきり泣いて個室を出ると、手洗い場の鏡に俺が映った。
「…ひでー…」
目も鼻も真っ赤、まぶたは腫れて、とてもじゃないが授業を受けられる状態ではない。
オミの顔を見るのも億劫で、仕方なく保健室で休ませてもらうことにした。
普段ケガ以外ではあまり世話にならない保健室の扉を恐る恐る開けると、保健医は俺の顔を一目見て、すぐに奥のベッドに通してくれた。
まぶたを冷やすためだろうか、渡してくれた氷嚢を顔に乗せる。
その冷たさが心地よくて、いつしか俺は眠りについていた。

目が覚めたのは、保健室のドアが開く音と、誰かの話し声。
「すいません、うちのクラスの幸田、いませんか」
その声はまぎれもなく。
(オミだ……!)
寝ぼけた頭は一気に覚醒して、俺は顔を覆うように布団を引き上げた。

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