「トモ、力抜いて…楽にして」
制服のシャツの前を開けられ、オミの骨ばった手が滑り込んで来る。触れるか触れないかの微妙な所で緩く撫でられて、全身に鳥肌が立った。
「感じてるの?可愛い…」
「ち、ちが…っ、あ…!」
首筋にかかる髪をかき上げられて吸い付かれ、オミのシャツを掴んだ手がびくりと震えた。そのまま舌を這わされると、柔らかく濡れた感触が触れる度にそこから熱が広がって行く。
「あ…オミ……オミ…っ…」
ぞくぞくと沸き上がる未知の感覚に身体を支配されて、目の前が少しずつ白く染まって行く。必死にオミにしがみついて、何度も名前を呼びながら、俺は………

「…………っ!!」

はっと目を開けると、辺りは暗闇だった。手探りで目覚ましを探して見ると、まだ夜明けには程遠い。
(なんて夢……)
額に浮かんだ汗を拭って深くため息をつく。べったりとはりついたパジャマがうっとおしい。少しでも涼しくしようと布団をめくって、身体の変化に気がついた。
(…嘘)
パジャマのズボンを微かに押し上げている自分自身。さっきの夢を思い出すと、くっと角度を増したように思えた。
少し迷ったけれども、布団を頭からかぶり直して、そろそろとそこに手を伸ばす。指先で触れると思わず声が出そうになって、慌てて口元を押さえた。
「ん…っん…」
ゆるゆると手を動かすと、きつく閉じた瞼の裏にオミの姿が浮かんで来る。夢の中で俺を抱いていた、あのオミの姿が。すぐに手の中が濡れてくるのを感じて、俺の身体は一層熱くなった。
いわゆる思春期だし、こういう自分自身を慰める行為をした事がない訳じゃない。でもオミの事を考えながら…しかもした事もないセックスを勝手に思い浮かべてなんて…浅ましくて後ろめたいのに、いつもより感じてしまって止められない。
『トモ、可愛いよ…気持ちいい…?』
「んんっ…ふ…はぁっ……」
夢で囁かれたオミの声が耳の奥に響いて、頭の芯が甘く痺れる。まるでオミにされているような倒錯的な快感に、俺は夢中で自身を擦り上げた。
『好きだよ、トモ…愛してる…』
「は…ぁ…オ、ミ…っ、んく……っぅ…!」
目尻にたまった生理的な涙が流れ落ちた瞬間、俺の身体は大きく痙攣した。手の中に放たれたものを拭う気力もない程の強い絶頂感に震えてしばらく動けなかった。
(何考えてるんだよ、俺は…)
荒い息を吐きながら、どうしようもない自責の念に駆られる。
──俺なら早いとこエッチに持ち込むけどな
(俊が変な事言うからだ)
重い身体を起こして後始末を済ませると、俺は丸くなって再び目を閉じた。でも、全然眠れなくて…

その日は、オミの顔をまともに見られなかった。

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