二代目拍手 オミ誕生日記念


6月1日。
俺の大事な人がこの世に生を受けた日。

「オミ、誕生日おめでとう」

出会って10度目の6月1日。
オミ、24歳。

「はい、プレゼント」
差し出したのは小さな箱と大きな包み。
この10年、ほとんど変わらない組み合わせで贈り物をしている。
箱の中身はピアス、包みはその時オミが欲しそうなもの。

オミは高校に入学する少し前に、左耳にピアスホールを1つ開けた。
ならばと思ってその年の誕生日にピアスをプレゼントしたのがきっかけで、以来毎年恒例になったというわけ。
何故恒例にしたかというと、
「俺、穴1個しか開いてないから。トモが開けたらお揃いでつけようぜ」
そう言って、2個セットのピアスを片方渡してくれたからだ。
まだその時はオミに片想いしていたから、「お揃い」と言われたのが余計に嬉しくて。
しばらくして付き合い始めて、翌年も馬鹿の一つ覚えのようにピアスをプレゼントしたのだ。
そうしたら、オミはなんて言ったと思う?

「今日つけてるの、去年トモがくれたピアスだよ。お揃いが2つに増えたな」

そんな事を言われたら、その次の年だってあげない訳にはいかないだろう。

が、俺の方がなかなか穴を開ける勇気が出なくて、結局高校を卒業してからピアスデビューして、晴れて「お揃い」となったのだった。
3つになった片方のピアスを眺めて、ファーストピアスが終わったらどれを最初につけようか悩んだのもいい思い出だ。

「今年は…おっ、かっこいい〜!」
オミも毎年どんなピアスが箱から出てくるのか楽しみにしてくれているみたいで。
そして、毎年律儀に喜んでくれる。
今年は、黒い石のついたシンプルなものにした。もともとオミは、あまりごてごてしたものは好まないから。
「ありがとう、トモ」
そう言って、今つけているピアスを外して、箱から出したばかりのものに付け替える。
それから、もう片方を俺に渡す。それを俺が同じように自分の耳につけるのが恒例のパターンだ。
大学生になってからオミのピアスホールは左耳にもう1個増えたけど、それでも片方を俺にくれるのに変わりはない。
「よっし、今年もお揃いになったところで、出かけようか」
鏡を見て満足げに頷いて、オミは立ち上がった。

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